エヴァの時代は終わった ー日清の大坂なおみ選手アニメcm削除にみる日本アニメの問題点

日清、大坂なおみ選手のアニメCMを公開停止に 「選手活動に影響があると判断」 | ハフポスト

 

日清が大坂なおみ選手をイメージしたアニメcmを、大阪選手の事務所の要請により削除したというニュースがありました。

 

日清の対応にも問題はないと思いますし、大阪選手も「意図的に白くしたわけではないと思う。今後はこういうことは相談してほしい」という旨の発言にとどめ、大きなトラブルには至っていないようです。

 

しかし、この問題はこれで収束させていいものではないのではないか。

 

明らかに日本のアニメーションは社会的意識が欠如しています。 

ikire-b.hatenablog.com

 

以前このような記事を書きました。きっちり文化研究したわけではないので細部不詳ですが、おそらくは大きくエヴァ以降、日本アニメはオタクの自意識と萌文化の消費にしか勤しんでこなかった。

例えば『妄想代理人』や『lain』(は少し言い過ぎか?)のような社会問題を取り扱った作品は数えるほどしかない。

自閉症のシンジくんがオナニーするが如く僕らは閉じこもり続けてきた。

 

ジャパニメーションと銘打ち、日本が世界のアニメーションを牽引すると息巻いてからしばらく経ちました。ジャパニメーション政策の問題もあちこちで取り沙汰されています。それを含め、どう考えても日本アニメは文化意識、社会意識に足りなさすぎる。

 

昨年2018年は『リズ』や『若おかみ』が話題になり、TVアニメも直近では『GRIDMAN』など優れた作品がたくさんありました。しかし、そのどれもが形式主義的で、観客もその表層(作画だの演出だの声優だの)ばかりに注目する。

記事の主張上ややバイアスのかかった批評になりますが、『リズ』のみぞれはいわばオタク(シンジくん)で、内容も例えばLGBT問題と関連させるにはあまりに薄くむしろ両者の関係は百合要素として萌の消費対象になっている。『若おかみ』も内容としては使い古された少女の成長譚で、小学生の労働問題を指摘されたこともあります。エヴァオマージュの『GRIDMAN』はいうまでもありません。

日本アニメは、いわゆるセカイ系、それに類する内容以外描いてこなかった。というよりは、消費文化の奴隷となったアニメは、オタクの望むそういう内容物しか描けなかったというのが正しいでしょう。

(追記 2019/01/25

近年過去の名作のリバイバルやリメイクが盛んになっているのも内容的発展の欠如の表れと言えます。海外の聖闘士星矢のリメイクの女体化が少し前に話題になりましたが、これも今回の件と関連するものとして再考されるべきでしょう。)

 

フォルマリズムに盲信するのは心地よいかもしれませんが、現代という時代はそれを許しません。(現に欧米では芸術と種々の社会問題について頻繁にニュースが流れています)

さらに言えば、日本人がアニメ先進国と自負する手描きアニメーションの技術やクオリティに追い迫る(抜き去る)海外の人たちも多く現れています。仏のゴブラン校などその筆頭です。

 

日清の問題はポイント・オブ・ノーリターンです。海外のメディアに日本アニメの問題点を明確に指摘されてしまった。こうなった以上、見る側も含めあらゆるアニメ関係者は無自覚ではいられないのです。