片渕須直のインタビューの整理と個人的な考え

自分向けですが。

日本アニメは世界の潮流から外れている 片渕須直監督が本気で心配する、その将来:朝日新聞GLOBE+

 

  • 日本のアニメーション

「多様」ではない。厳密には「多様」な作品は非常にアンダーグラウンド。「インディー」との関わり。ここらへんについては土居伸彰。

 

大人向け→なし

大きな子供向け*1→深夜アニメ

子供向け→ドラえもんプリキュア

 

  • 海外(欧米、アジア)のアニメーション

「多様」なアニメーション系。

 

大人向け→映画祭

大きな子供向け→「ジャパニメーション」もの

子供向け→ピクサー

 

 

以上の片淵の認識は大筋間違っていないと思う。

 

海外における、アニメーションが映画として(再)認知される動き(仏の『手をなくした少女』)についても正しいだろう。”映画”祭におけるアニメーションなど。ここらへんは圧倒的に海外の方が映像文化の土壌が育っている。日本が壊滅的なのは作り手*2だけのせいではないです。受け手にも政府にも責任がある、というのはまた別のお話。過去記事にちょっとその話題あるけどこてんぱんにダメ出しされたのであまり参考にはならないかも。

 

『若おかみ』がまたかと言われるというエピソードについてはさすがに海外の方の見方が悪いかと。大人向けではないが、あれは明らかに子供向け。大きな子供向けではない。ただし、「ジャパニメーション」というジャンルは「大きな子供向け」と合同ではなく、表現スタイルとも被っているのでここらへんは要考。表象形式の意味ではまたかと言われても仕方ない。萌え絵や3コマ。

 

深夜アニメ(「ジャパニメーション」)の巨大化、独占化は事実だが、子供向けアニメが衰退しているかについては疑問。アイカツ、プリチャン、妖怪ウォッチはまだまだ若手だし、かなり積極的な作品作りをしているコンテンツもある。ブランドの固定化も・親が子供に見させる ・子供同士の話題作り ・おもちゃを売るといった要因があるのでそうならざるを得ないというのが正しいと思う。海外の子供向けテレビアニメよくわからないが、とりわけ日本が機能不全ということはないだろう。劇場作に関しても『若おかみ』の例があるし、海外の大スタジオより数は少ないかもしれないが、今後それらが全くなくなるとも思えない。深夜アニメに侵食されつつあるというのは確かだろう。『名探偵コナン』の指摘はごもっとも。石岡良治

 

 

芸術性(大人向け)と娯楽性(大きな子供向けあるいは子供向け)の対立を持ち出す人が多いが、これは記者(大きな子供向け寄り。たぶんこの人「ジャパニメーション」大好き)と片淵(大人向け制作中。昨年末公開したけど)の立場の違いに影響されすぎ。芸術性と娯楽性は偏りはあれどどのターゲット層にも見いだされるもの。

 

大きな子供向けが広がりすぎていることについては、仕方ないと思う反面、なおさなきゃとも思う。大きな子供向けストリームは10年20年の話ではない*3のである意味仕方ないが、それが健全な状態でないとは個人的に思う。それこそ多様性が足りないし、一消費者としてつまらない。

 これは良い指摘で、感覚は変化して当然なので「あーそうゆことね」とは思っても「おもしろい」とか「好き」にならないはず。いわゆるコンテンツからの卒業という話で、僕の実感としても納得できる。

文化史(学)と社会史(学)ぜんぜん勉強してないんで下手なこと書いてたら申し訳ないけれど、かつてのように結婚子育て等のライフステージが当たり前でなくなったこと、無敵の人がたくさんいるような時代になったことで「卒業」しないこと、マルチメディア化などで思春期の感性にしがみつくことが容易になってしまったことも要因でしょう。

コンテンツとファンのすり寄り、傷のなめ合いの最高値更新中が現在であることは間違いなく、いずれ破綻するのでよくないです。ただこれは複雑な問題なのでどこかをただせばすぐ解決というわけにもいかない。この話をきちんと調べて書くとすごいことになるのでこのへんで切ります。

 

では日本で大人向けはつくれるのか。日本の映像文化の地盤が終わっていることから、たぶん無理。そうとう頑張んないと。とは言っても、僕が個人的にそこらへんに興味を持ちはじめたからそう見えるのかもしれないが、『この世界』、高畑展、海外作の輸入など以前よりも確実に盛んにはなってるので、そこらへんは片淵さん頑張ってください。僕も出来うる限り見て、調べていきたい。

 

 

芸術における子供向けと大人向けについて、童謡/その他、児童文学/その他は思いつくんですけど、建築、絵画、彫刻ってなにかありますかね。

 

追記

https://twitter.com/tanusuke45/status/1235754187251564545?s=21

https://twitter.com/umegrafix/status/1235888002917740544?s=21

*1:後期思春期。これが学術的に正しい用語か確認が取れなかったので俗称として前者を使用

*2:これも実制作者とプロデューサーのふたつある

*3:ここらへんの文化史がまだまだ弱いので良い本があれば教えていただけると嬉しいです