ガガガ文庫『コップクラフト』 感想

ガガガ文庫で出版されている『コップクラフト』(賀東招二著、村田蓮爾イラスト)の感想です。そんながっつりではなく、今年のアニメ化に向けた軽めの感じで。ネタバレ注意です。

 

賀東招二さんと言えば京アニの脚本(ハルヒなど)や『フルメタル・パニック!』『甘城ブリリアントパーク』等のノベルスで知られている方ですね。割と名前を知っている人も多いんじゃないでしょうか?

村田蓮爾さんは『快楽天』の表紙や、サークル「PASTA‘S ESTAB」、『青の6号』や『LASTEXILE 』のキャラクターデザイン等が代表的なお仕事になりますが、その方面では有名な方ですね。

 

実を言うと僕、村田蓮爾さんの絵がめちゃくちゃ好きなんですよね。幼げな少女達とカメラでぼかしたような背景、官能的でリアルなメカや服飾、渋い男性。一から十まで好みすぎて、複製原画とか買っちゃうくらい大好きな作家さんです。

賀東招二さんも『フルメタル・パニック!』が好きだったので、このコンビは外れないだろうと。昨年末にアニメ化が発表され、恥ずかしながらその時まで本シリーズのことは認知していなかったんですが、先日文庫を購入するまでワクワクうずうずが止まりませんでした。

 

期待に違わず、めちゃくちゃ面白かったです。何と言ってもまずバディ・ポリスアクションの洋ドラ風というつくりがたまらない。特に一巻は完成度が高く、どことなくハードボイルド小説の翻訳を読んでいるかのような書き味が素晴らしかったです。アメリカンなノリも絶妙で気持ち良いスパイス。あとがきで、「アメリカのドラマシリーズの翻訳版です」とジョークを飛ばすんですが、ちょっと信じちゃうくらい質が高かったです。

2巻以降は翻訳調(ハードボイルド調)が薄れ、賀東氏本来の(といっても『フルメタ』しか読んだことないので、『フルメタ』っぽいという意味ですが)コメディとシリアスの入り交ざった文体に戻ってきていますが、それでもやっぱり面白いです。

やはりマトバとティラナの主人公二人が良いですね。僕はボーイミーツガールに著しく弱いので(フルメタ』一巻のサブタイは「戦うボーイ・ミーツ・ガール」)、おっさんと少女という使い古されたペアとわかりつつも、むしろそのテンプレ感が良いです。凸凹コンビの魅力が詰まってます。

個人的に好きなのが、「十五年前〜」から始まる、世界観を説明する枕詞。毎話、短いアバンから枕が挟まって「COP CRAFT」のタイトルロゴが印刷された見開きページに移るのがそれっぽくて好きです。『コップクラフト』の良さは「それっぽさ」だと思います。あとがきで洋ドラ版のティラナ役を演じる女性が出てきたり、黒人の警部やゲイの同僚など「それっぽい」設定が散りばめられていて、それをニヤニヤしながら読むのがひたすら楽しい。パロディ小説として本当に面白いです。

他にも、個人的に車と写真が好きなので、扉の風景写真やちょくちょく出てくる車の描写に嗜好をくすぐられます。また村田さんのメカのイラストがめっちゃ良いんです。

 

2019年内のアニメ化が決定しており、非常に楽しみなのと同時に、しっかり作ってほしいなという不安もあります。

できれば、マッドハウスかIGの硬めの画作りで、90年代アニメ風のミリタリー感も欲しいですし、声優も吹き替えができる方に担当してもらえると「それっぽく」て面白いなぁ、なんて。でも、ティラナは釘宮理恵かなぁ、とか。

僕の好きな要素が詰まりすぎてて、傷つけて欲しくないみたいな気持ちがあります。めんどくさいオタクですね。

 

ともあれ、今夏の新刊、アニメが楽しみです。

 

※追記 2019/03/09

アニメのキービジュアルが公開されました。率直に言います。マトバがキモすぎる。なんですかあの眉毛は。頭身も気に食わないし、彩色ももっとロートーンのイメージでしょう。声優はツダケンと新人。聞かない分には判断のしようがありませんが、ツダケンの演技はいまいちだと思っているので(声は合ってると思うんですが)それも残念です。

アニメ見ない方がいいのかな。見たくないけど見たい、ジレンマです。