『さよならの朝に約束の花をかざろう』 感想(二回目)

先日、新文芸坐アニメスタイルセレクションvol.105に行ってきて、『さよならの朝に約束の花をかざろう』をまた見ることになったので前回から考えが変わったところなど。ネタバレ注意です。一応過去記事貼っときます。

ikire-b.hatenablog.com

 

 

 

以前は絶対許せないって言ってたレイリアのストーリーなんですが、改めて見ると思っていたよりはひどくもないのかなと思いました。ずっとひとりぼっちで苦しい思いをしてきたレイリアだけど、最後に娘を一目見ることができてきっとすごく報われたんだろうなって。きっと強い彼女には一緒に話すこととか触れ合うことなんか必要なくて、その姿を見ることができただけで良かったんだと思います。メドメルの「お母様って、とても綺麗なお方なのね」という言葉にずっと会えなかった二人の関係性が込められていると考えると、これで良かったなって思えるようになりました。

 

マキアとエリアルは母子愛なのか男女愛なのかっていう話ですが、男女愛みたいですね。エリアルが「愛することを教えてくれた」みたいなことを言ってますし。そのうえで、男女愛を含めいろいろなことを教えてくれた、育ててくれた人として「行かないでくれ、母さん!」というセリフにつながると。こう理解するとまぁ納得は行くんですが、やっぱり守る宣言からの時間跳躍ディタと結婚っていうのはあまりにもそっけないとなぁと思います。もっと男見せろよエリアル

 

泣かせは相変わらず受け付けなかったですね。おじいちゃんエリアルに会いに行くラストパートいる? あそこがどうにも無理です。ごめんね、約束やぶっちゃうみたいなセリフと綿毛ぶわっのところでどうしても冷めてしまうんですよね。あの花のかくれんぼみたいで苦手です、ああいうの。

 

最後に新しく気付いたことなんですが、主人公(エリアル)が悪の大国に属していて敗戦するっていうパターンってそんな無いですよね? メザーテってどう考えても悪役の国だし(イオルフの里襲ってますしね)、なんか諸国会議みたいので連合組んでメザーテをつぶすっていう流れも連合側から描かれるのが定石ですよね。エリアルは死んでないけどメザーテ側は負けてるし、意外とそこはおもしろいなって思いました。でも、メザーテって山と海に囲まれた天然要塞なのになんであんなボロ負けしてんすかね。湾に入られる前に気づけよ。

 

 

内容以外の話で、『さよならの朝に』爆死っぽいですね。なんか、公開時期に堀川憲司とか平松禎文がすごい必死にプロモーションしてて痛々しかったんですよ。僕の思い過ごしかもしれないですけど、なんか最近アニメ映画売れるみたいな風潮がある気がして。『ガルパン』と『君の名は』と『この世界の片隅に』のせいだと俺は思ってるんですけど。

でもそう簡単に売れるわけがないんですよ。よくアニメーターにお金を回そうとか、経済回そうとか頭軽い人たちが軽く言ってますけど、そんな簡単に経済回ったら誰も苦労してないって。安室の女とかいって馬鹿みたいにコナンの映画見に行く人とかいますけど、本当にアニメのこと考えてんなら『さよならの朝に』も10回見ろよって思っちゃいます。結局は自己中心的な金の使い方しかしてないのに経済回すという大義名分、免罪符を振りかざして自己陶酔に浸る人の気持ちがわかりません。

関係ない話なんでほどほどにしておきますが、今の時代売りたかったら不満が出ないような平均点80点みたいなのを作るか(『この世界の片隅に』)、作品公開をイベントにしてひたすら盛り上げまくるか(コナン最新作)の二手しかないんじゃないかと思います。真面目に作っても絶対売れない。

それと、観客は安易に「最高」とか「みんなも見て」という言葉を使わないでほしいです。頭も言葉も軽すぎる。

 

 

あまり愚痴っても仕方ないので。

アニメスタイルセレクションvol.105の二本目、『MEMORIES』は初めて見たんですがとても良かったです。やっぱ90年代の作品は刺さるなぁ。トークも面白かったです。

 

映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』公式サイト